校長室だより

卒業証書授与式

3月12日(木)、一歩一歩春が近づいていることを感じさせる柔らかい日差しの中、卒業証書授与式が行われました。厳粛で涙をそそられた感動的な式と、友だちや先生と話をする生徒の笑顔が何より印象的でした。生徒がいなくなって、ぽっかりと空いた教室を覗くと、黒板には、たくさんのメッセージが寄せられていました。「3年間ありがとう」「楽しい高校生活だったよ。」などのメッセージが、所狭く書かれていました。卒業生の未来が、光り輝くものになりますように。

 

【校長式辞】 

朝昼の寒暖の差の中に、日ごと春の訪れを感じる季節となりました。今日の佳き日、ご来賓であるPTA会長様、教育後援会長様をはじめ、保護者の皆様、在校生とともに、かくも盛大に第61回卒業証書授与式を挙行できますことを、本校を代表して心より御礼申し上げます。

 ただいま卒業証書を授与いたしました鴻巣女子高校、61期の卒業となる138名の皆さん。ご卒業おめでとうございます。皆さんがこの3年間、重ねてきた努力と成長に、心から敬意を表し、心よりお祝い申し上げます。

 また、保護者の皆様におかれましても、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。高校生活は人生で最も多感であり、一方で、精神的に大きく成長する時期でもあります。そうしたお子様の心の悩みや葛藤を最も近くで支え、見守ってこられたからこそ、立派になったお子様の姿を見て、熱い思いに溢れているのではないでしょうか。これまでの深いご支援とご尽力に、心から敬意と感謝を申し上げます。

 本校は、昭和41年の開校以来、60年の歴史を重ね、卒業生は、皆さんを含めて、13,000人を超えています。学科ごとに見ると、保育科は2,348人、家政科学科は前身の家政科を含め2,419人、普通科は8,809人が卒業しており、多くの先輩が地域や様々な分野で活躍しています。

 皆さんはこの3年間、先輩から受け継いだ伝統を大切にしながら、自分らしく学校生活を過ごしてきました。そして、先輩と後輩がつながる「縦の糸」と、仲間同士が支え合う「横の糸」を織り重ね、鴻巣女子高校らしい美しい布を織り上げてくれました。

 3年生では、文化祭で、猛暑の中、準備に励み、「ファッションショー」や「こどものくに」を見事に作り上げました。体育祭では、ソーラン節が大きな感動を呼びました。計画段階では、伝統が続けられるか心配される場面もありましたが、「やろう」と決めてからの皆さんの努力は見事で、当日の演技は圧巻でした。その姿は、仲間と力を合わせて何かを創り上げることの尊さを、私たちに教えてくれました。

 さて、これから皆さんは、それぞれの道へと進んでいくことになります。

 世界に目を向けると、国家間では衝突があり、力で相手を抑えようとし、人々の命や暮らしが脅かされる現実があります。現代社会では、価値観や文化の異なる多くの人々が、共に生きています。考え方が異なるのは当然のことです。しかし、そうした社会の中で、大切なのは、異質な相手を排除することではなく、互いを理解し、尊重する心です。

 皆さんは本校での学校行事や部活動、日々の学びを通して、仲間と向き合い、考えを伝え合い、時にはぶつかり合って、一緒になって何かを創り上げてきました。その経験をもとに、コミュニケーションの力を培ってきました。この能力は、これからの人生において大きな支えとなることでしょう。

 今後も、相手と対話を続けて、自分とは異なる考え方を知る。さらには、学び続けることで、自分自身の考えを化学変化させ、新しい価値観を身に付けていって欲しいと願っています。

 とは言え、これからの人生で、前向きに進んでいったとしても、思い通りにいかないこともあるはずです。滅入ってしまうこともあるでしょう。しかし、「やらなかったことを後悔するより、やったことを後悔する方がいい。」 失敗を恐れて挑戦しないことよりも、挑戦した経験こそが人を成長させます。どんなに社会で成功している人も、挫折や迷いを経験しながら、自分の道を切り拓いてきているものです。

 どうか自分を信じ、諦めずに歩み続けてください。

 小説「赤毛のアン」の中で、主人公のアンはこのように語っています。

「私は曲がり角のある道が大好きだ。次の角を曲がったら、一体どんな景色なのか、どんな人と出会い、どんな出来事が待っているのか、わくわくする。」と。

 人生はまっすぐな一本道ではありません。遠回りをしたり、立ち止まったりすることもあります。しかし、曲がり角の先には、新しい出会いや発見が待っています。人生は予想できないからこそ面白く、経験を重ねることことで、豊かなものになっていきます。

 4月から、皆さんはそれぞれの新しい航海へと旅立ちます。時には荒波に出会い、進む方向に迷うこともあるでしょう。そんな時は、慌てず、自分のペースで歩んでください。支えてくれる家族や仲間を頼ることも大切です。そして最後は、自分自身の心に問い、自分で答えを見つけてください。

 結びに、卒業生の皆さん一人ひとりの未来が、自分らしい希望に満ちた輝かしいものとなることを心から祈念し、式辞といたします。

 令和8年3月12日

                 埼玉県立鴻巣女子高等学校長 秋元 俊一